事務ってどんな仕事?種類や必要なスキルと転職の際の留意点もあわせて紹介
「事務の仕事の内容とはどんなことをするのか?」
「事務職とはどのような種類があるのか?」
「事務職の経験はないけれどどんなスキルが必要なのか知りたい」
このように、様々な疑問を事務職に感じたことのある人も多いでしょう。事務職という言葉は聞く機会が多い言葉ですが、実務としてどのようなことを行っているのかというと意外と分からないという人も少なくありません。
この記事では事務職の仕事の内容や種類はどのようなものがあるのか、事務職のメリットやデメリットといったことから事務職にとって必要なスキルは何なのか、といったことなどについて解説していきます。
この記事を読むことで事務職とはどのような仕事なのかということが把握できるでしょう。ほかの職種から事務職に転職を考えている人や事務職について詳しく知りたいという人にとって参考になるため、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
目次
事務職の基本的な仕事内容
データを入力する事務職が行っている主な仕事のひとつが、パソコンなどを使用した「データ入力」です。会社の業種や配属になった部署によって入力するデータの内容は変わってきますが、主なものとしてあげられるのが売上や経費などや顧客情報や商品の在庫・発送状況のデータなどです。
基本的にはExcelやWordなどで作って、フォーマットに数字などを入力していきます。この仕事で注意しないといけないのは正確性です。ひとつの数字の入力間違いが大きなトラブルに発展することもあるため、気をつけなければいけません。
電話応対・来客応対をする
多くの場合、電話の応対や来客の応対も事務職の仕事のひとつとなっています。電話の応対では掛かってきた電話を担当者へ取り次いだり、掛かってきた内容に応じた返答をしたりします。会社の代表番号は事務職に繋がっていることも多いため、社外との接点も多くなりがちです。
来客の応対は来客があった場合、応接室や待合スペースなどに案内したり、来客によっては飲み物を出したりします。また、自社の社員と他社との会議などが行われる場合は、会議室の準備などにも対応します。
書類を作成する
事務職の仕事として代表的なものは「書類の作成や処理」です。営業であれば取引きに関する見積書や請求書、納品書や伝票の発行などがありますし、クライアントに提出する資料や契約書、会議の議事録、経理であれば給与や経費に関する書類など、部署によって扱う書類は様々です。
また、作成するだけでなく書類の処理も行わなければいけません。会社で使用されるありとあらゆる書類の作成と処理を行うのが事務職である、と言っていいでしょう。
書類を整理する
前述したような書類の作成や処理にくわえ、その後の整理も事務職の仕事です。作成した書類はそのままにしておくとどれが必要なのか、いつまで有効なのか、いつ作成したのかなどということが分からなくなります。
紙媒体で作成したのであれば、項目や日付順など会社のルールに従ってファイリングをした後、所定の位置にファイルを戻すことでいつでも必要な書類を出すことができます。
また、パソコンなどで作成されたデータであれば書類の内容や日付ごとにフォルダを作成して保存しておくことが整理をすることになります。保存をするときに名前をつけておくようにするとなお良いでしょう。
いつでも誰でも必要なファイルを閲覧できるように整理しておくことも、事務職の重要な仕事と言えます。
その他の業務
事務職の仕事は前述した内容のものだけではありません。会社に届いた請求書や見積書などの郵便物の仕分けや発送、社内の備品や消耗品などが減っていれば発注して補充するといった内容の仕事もあります。
社内の業務がスムーズに進むようにサポートを行うのも、事務職の大切な仕事と言えるでしょう。
事務職の主な種類
事務職の基本的な仕事を確認したところで、次は事務職にはどのような種類があるのか見ていきましょう。
事務職の種類は会社の業種や配属された部署によってまったく変わってきます。営業部門の事務職は営業事務、経理部門の事務職は経理事務などに分けられます。
営業事務について
営業先や取引先に自社製品などを売るときには見積書が必要なこともありますし、プレゼンテーションを行うための資料が必要なこともあるでしょう。営業事務は営業部に配属されることが多く、営業職のサポートがメインの仕事となります。
相手とスムーズに取引ができるように見積書、請求書の作成・発送のほか商品の在庫管理や発送なども行ないます。また営業の仕事は社外との取引が主となるため電話や来客も多く、その応対や取次も営業事務の重要な仕事です。
経理事務について
経理事務は経費の精算や日々の現金などの処理・管理、伝票の仕分け、帳簿の作成といった経理部門のサポートを行う仕事です。また決算書類の作成補助をしたり、銀行などに出向いて直接お金を引き出したり振り込んだりといった仕事をすることもあります。
経理はお金のやり取りを正確に行うことができるように、書類の作成や整理、チェックを行う部門です。仕事の内容によっては簿記などある程度の知識や資格が必要となる場合があります。
一般事務について
一般事務は事務職の中でも会社全体の基本的な事務業務全般を行うため、「事務職の基本的な仕事内容」の項で述べた仕事の内容がほぼ当てはまります。
営業事務や経理事務など専門的な事務には分けられないときや、部署に関わらず幅広く仕事を担当する場合などに、一般事務といわれることが多くなっています。
総務事務について
会社が円滑に運営をしていくために必要なものの準備や管理を行うことが総務事務の仕事です。社員が使用するデスクや文房具、コピー用紙などといった設備や備品の準備・管理や防犯・防災対策、社員に冠婚葬祭があったときの対応なども行います。
法務事務について
会社と取引先との間で契約が交わされたときには多くの場合、契約書が必要です。この契約書に不備がないか、項目に法律的な問題はないかというチェックと、戻ってきた契約書の管理が法務事務の主な仕事内容になります。
ほかにも社員から法律に関する問い合わせがあった場合の対応や、会社によっては特許や知的財産権などの管理、顧問弁護士がいる場合は顧問弁護士への取り次ぎなども法務事務の仕事となることもあります。
労務・人事事務について
労務事務・人事事務の仕事内容は、新入社員の採用や異動、退職に伴う社会保険などに関する手続きや勤怠状況の管理、社員名簿の整備や管理や給与の計算などがあげられます。
また、社員が仕事の最中に怪我をしてしまったときには、労災保険の手続きを行ったり冠婚葬祭に関する支払いなども行ったりします。
貿易事務について
貿易事務は輸出・輸入に関するいろいろな手続きを専門的に担当して処理を行う仕事です。主な仕事内容として税関手続きに関する書類の作成や申請、商品などの輸送手段の手配、輸入した商品の保管場所の手配などがあげられます。
貿易事務は輸出や輸入に関わる法的な知識も必要になりますし海外とのコミュニケーションが頻繁に発生する可能性があるため、英語などのスキルを求められることもあります。仕事内容が煩雑なため専門性が高い事務職と言えるでしょう。
その他の事務について
事務職は一般企業だけでなく学校や病院などでも必要となってくる職種です。学校事務といわれる職種は小中学校、高校、大学や専門学校などで生徒の入学や転校に関する手続きや学生証の発行など、児童や学生に関わる仕事を行います。
医療事務は病院やクリニックなどで働く事務職のことで、主な仕事内容はレセプト業務や来院者の受付、会計業務やカルテの整理、電話応対などです。
事務の仕事のメリット
どのような仕事でもメリットやデメリットはあり、人気のある職種のひとつである事務職にもやはりメリットとデメリットがあります。事務職のメリットとしては以下のようなものがあげられます。
- 未経験可の求人を探しやすい
- 基本的なPCスキルを身につけることができる
- 仕事のスケジュール管理がしやすい
- 人から感謝される仕事が多い
未経験可の求人を探しやすい
事務職はその仕事の内容からいろいろな業種の会社や企業で必要とされています。そのため、未経験であっても求人を探しやすい職種でもあります。基本的なビジネスマナーなどを知っておけば応募できる場合があることもメリットのひとつでしょう。
基本的なPCスキルを身につけることができる
事務職の仕事は内容が多岐にわたる場合が多く、特にWordやExcelは書類の作成などで使用することが多いPCスキルです。もし使うことができなくても職場の先輩などが教えてくれることもあります。
事務職の仕事を通して基本的なPCスキルを身につけることができるのもメリットのひとつでしょう。
仕事のスケジュール管理がしやすい
事務職のメリットのひとつに仕事のスケジュール管理がしやすい点もあげられます。事務職は基本的にルーチンワークが多く、退社時間をコントロールしやすい職種です。そのため、会社や配属された部署にもよりますが、求人内容に残業なしや定時退社をあげている会社もあります。
人から感謝される仕事が多い
事務職の仕事はほかの社員や部署のサポート業務であることがほとんどのため、人から感謝されることが多いのもメリットのひとつでしょう。
急な仕事や問い合わせに対して素早い対応を行ったときや、分かりやすい資料を作成したときなどは、ほかの人から直接、感謝をしてもらえることもあります。
事務の仕事に求められる5つのスキル
事務職の仕事は専門分野のスキルが必要な部署に配属にならない限り、特に必要な資格などはありません。しかし、基本的なビジネスマナーやスキルは身につけておきたいものです。ではどのようなスキルが事務職では求められるのか確認していきましょう。
1:PCやOffice系ソフトに関するスキル
まず求められることが多いスキルは、PCやOffice系ソフトに関するスキルです。Wordでは文書作成、Excelでは簡単な表計算や関数など、使う頻度が高いソフトのため使用できるようにしておきましょう。
Office系ソフトのなかにはPowerPointなどプレゼンテーションで使用することが多いソフトもありますし、ビジネスメールでは特有の言い回しやCC・BCCの使い分けなどができるとなお良いでしょう。
MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)資格はWordやExcelなどのMicrosoft Office製品の操作レベルを証明する資格です。必ずしも必要な資格ではないものの、取得しておくと就職や転職においては強力な武器になります。
2:業務を正確かつスピーディに処理するスキル
事務職の仕事内容は多岐にわたるため、何件も同時に処理をすることもあります。そのようなときに正確かつスピーディに仕事を処理するスキルが求められます。
人が行う仕事である以上、計算ミスや入力ミス、字の読み間違いなどがおきてしまう可能性はあります。そのため、ミスをしないようにするための自分なりのマニュアル作りや、セルフチェックが必要になってくるでしょう。
3:コミュニケーションスキル
事務職は意外と人との接点が多いことがあるため、コミュニケーションのスキルが求められます。
また、営業事務や貿易事務などでは社外の人とも接したり、電話や来客の応対などを行なったりします。そのようなときにもコミュニケーションスキルが高いほうが、話もスムーズに進めることができるでしょう。
4:情報を収集するスキル
事務職の仕事の中で意外と重要なのが知識や情報の収集スキルです。事務職は基本的に社内の多種多様な仕事に関わることが多いため、知識も豊富に持っていたほうが対応もしやすくなります。
その知識を得るためや的確なサポートをするための情報収集のスキルは持っておくといいでしょう。
5:基本的なビジネスマナー
事務職の仕事は社外の人との接点も多いため、ある意味、会社や部署を代表して対応をすることもあります。そのようなときに正しい言葉遣いやビジネスにふさわしい清潔感がある身だしなみなど、基本的なビジネスマナーが備わっているかどうかという点も重要です。
仕事をしながら身につけていくこともありますが、できれば入社前には電話や来客の応対の仕方やビジネスメールなどのマナーは知っておきましょう。
ビジネス実務マナー検定や秘書検定といった事務職に関連した検定試験もあります。キャリアアップにも繋がるため、チャレンジしてみてもいいでしょう。
事務の仕事の1日の流れ
出社したら朝礼がある会社であれば朝礼に参加して自分の仕事を始めます。社内外からのメールのチェックをして内容によっては対応を行いましょう。してほしいことの連絡があれば優先順位をつけて急ぐものから始めていき、昼休憩をはさみ残業がなければ定時で帰宅します。
事務職の仕事は基本的にルーチンワークが多いため、慣れてくれば自分のペースで仕事を行うことも可能になってくることが多く、1日の流れもあらかじめタイムスケジュールをたてておくとスムーズに進みます。
ただし事務職の仕事は多岐にわたることが多いため、タイムスケジュールどおりにいかないこともあることは理解しておきましょう。
事務職の収入はどのくらい?
これまで事務職の仕事内容について確認してきましたが、次に気になるのは収入面ではないでしょうか。事務職の収入は年齢によって変わることはあまりなく、どちらかと言えばどのようなスキルを持っているか、どのような経験があるかという点で変わってくることが多くあります。
では正社員で働く場合とパート・アルバイトで働く場合ではどうなのかみていきましょう。
正社員で働く場合
事務職として正社員で働く場合、経験やスキルが重要なポイントとなってきます。またどのような業種で働くのかによっても収入は変わってきます。
一般事務などで働く場合、15万円からという金額を表示している会社が多いです。経理事務や総務事務などは給与計算や雇用保険の対応といった仕事内容も含まれるため、一般事務よりは高い給与額を表示している会社も多くあります。
専門的なスキルが必要であれば収入面にも反映されることが多いですし、一定の経験を積んでいて即戦力として働けるのであればある程度の収入は見込めるでしょう。
パート・アルバイトで働く場合
パート・アルバイトで働く場合、未経験だと時給は1,000円前後となることもありますが、一定の経験があったり会社が求めているスキルがあったりすれば1,300円程度になることもあります。
事務職の場合、専門的な知識が必要な業種を除いて時給の相場は高いとは言えませんが、スキルアップや成果によっては契約社員や正社員へステップアップできることもありますし、会社によっては中長期的に働き続けることも可能ということもあります。
事務の仕事へ転職を考える際の留意点
ほかの職種から事務職へ転職を考えている人の中で意外と多いのが「楽そうに見える」という点です。これは事務職の仕事内容をよく理解していなかったり、イメージで考えてしまったりするためとも言えます。
では、事務職への転職を考えるときに留意しておくべき点とはどのようなものなのでしょうか。
仕事の成果が見えづらい
事務職の仕事は営業職などのように数値化できない仕事内容が多く、仕事の成果が見えづらいのが実情です。そのため会社や部署から実績が評価されにくいという点もあり、「努力が報われない」、「周りは何も分かっていない」と感じてしまいストレスを溜めてしまうこともあります。
ルーチンワークが辛いと感じる場合がある
事務職の仕事はルーチンワークも多く、正確性や地道に仕事を進めていく粘り強さ、部署によっては几帳面さなどが求められることもあります。積極的に動き回る仕事がしたい、人と接する機会が少ないと嫌だ、と感じる人はルーチンワークが辛いと感じることがあるでしょう。
裏方の仕事が多いことを理解する
事務職の仕事内容は書類作成・整理や備品の管理など、ほかの社員のサポート業になることが多く裏方に回ることがほとんどです。目に見えた成果や実績はあげにくいという点もあり、モチベーションが下がることもあるでしょう。
とは言え事務職は会社や部署にとってはなくてはならない職種です。自分の仕事は「必要不可欠である」という点を踏まえた上で、裏方の仕事が多いことを理解しておきましょう。
事務の仕事について理解を深めよう
事務職の仕事は一言で言えば「会社や部署、ほかの社員のサポート」を行う仕事で、未経験でもできる仕事でもあり経験やスキルが必要となる仕事でもあります。
その内容は実に様々で、仕事の幅が広い割に成果や実績が目に見えないもしくは見えづらいという点もありますが、事務仕事を行うことでビジネスマナーやPCスキルなどを身につけることもできますし、経験も積むことができるためキャリアアップを目指すこともできます。
事務職の仕事について求められるスキルやメリット・デメリットをしっかり理解して、自分に合った仕事を見つけてください。
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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