扶養親族とは?控除対象となる人の条件や申告書類の書き方を紹介
「扶養親族とは、どのような人が対象なの?」
「扶養控除の申請方法を教えてほしい」
「別居している大学生の子どもが扶養親族になるのか知りたい」
養っている親族が扶養親族に該当するかどうかわからなくて、不安や疑問を感じていませんか。扶養親族は、扶養控除に関わる大切な条件の1つです。
本記事では、扶養親族の具体的な条件、生計を一にすることの意味、扶養控除と配偶者控除の違い、控除対象扶養親族の意味についてまとめました。さらに、扶養親族がいる場合の申告書の書き方も解説しています。
本記事を読めば、扶養親族や控除対象扶養親族の意味が理解できるでしょう。扶養親族に関して詳しく知りたい人は、本記事を参考に、扶養控除を正しく申請してください。
目次
扶養親族に該当する人とは
扶養親族(ふようしんぞく)という言葉を聞いたことはありますか。扶養親族とは、所得税法で定められた親族のことで、4つの条件を満たした人が該当します。
扶養親族に該当するためには「6親等以内の血族および3親等以内の姻族」「納税者と同一生計であること」「年間の合計所得が48万円以下であること」「青色申告者・白色申告者の事業専従者ではないこと」といった条件が必要です。
本章では、扶養親族に該当する条件について解説します。ぜひ、参考にしてください。
配偶者以外の親族
扶養親族の条件の1つに「配偶者以外の親族または、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)、市町村長から養護を委託された老人」があります。
上記にある「配偶者以外の親族」とは「6親等以内の血族および3親等以内の姻族」のことです。
「6親等以内の血族」とは、本人と血縁関係にある6親等以内の人を指します。たとえば、父母・祖父母・曾祖父母、子・孫・曾孫、兄弟姉妹・甥姪などが対象です。
一方「3親等以内の姻族」とは、配偶者(夫または妻)の血族で3親等以内の人を言います。配偶者の父母・祖父母・曾祖父母・叔父叔母、兄弟姉妹・甥姪が該当します。
年間合計所得金額が48万円以下
扶養親族に該当するためには「年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)」という条件も必要です。
ちなみに、令和元年分以前は年間の合計所得金額が38万円以下となっていました。合計所得金額が変更となっているため注意してください。
もし、子どもがアルバイトで給料を受け取っている場合、年間所得(収入-給与所得控除)が48万円を超えると扶養親族の対象にはなりません。扶養控除を受けられないので注意しましょう。
納税者と生計が一である
扶養親族に該当するためには「納税者と生計が一であること」も条件の1つです。「生計が一であること」とは、納税者の収入で生活しているという意味を表します。
上記の場合、同居していなくても構いません。たとえば、納税者の仕送りで生活している親族、納税者が療養費を支払っている入院中の親族なども扶養親族に該当します。
青色申告者・白色申告者の事業専従者ではない
扶養親族とみなされるためには、「青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者ではない」という条件も必要です。
出典:扶養親族|国税庁
生計の一とはどこまで該当するのか
扶養親族の条件の1つである「生計を一にするもの」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
「生計を一にする」とは、「日常生活の資を共にする状態」を指します。つまり、納税者本人の収入で親族が日常生活を過ごしている状態のことです。
また、勤務・修学・療養等による別居であっても、「生活費・学資金・療養費を常に送金している」「日常生活は別居しているが、勤務・修学等の余暇には親族のもとで日常生活を送っている」といった状態も、「生計を一にする」に該当します。
同居や別居にかかわらず、親族と生活費を共有している場合は「生計を一にする」に該当するので注意してください。
扶養控除と配偶者控除の違いとは
扶養控除と配偶者控除の違いについて解説する前に「所得控除」について確認しておきましょう。
扶養控除と配偶者控除はいずれも「所得控除」に含まれます。「所得控除」とは、一定の条件を満たす場合に所得の合計金額から一定の金額を差し引く制度です。「所得控除」が大きければ大きいほど、納める所得税額は抑えられます。
では、扶養控除と配偶者控除とでは、どのような点に違いがあるのでしょうか。
扶養控除とは「納税者に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられる」ことを指します。
一方、配偶者控除とは「納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられる」制度です。
扶養控除は控除対象者が扶養親族で、配偶者控除は配偶者である点が違います。
控除対象扶養親族とは
「扶養親族の内、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の人」を控除対象扶養親族と言います。ちなみに、控除対象扶養親族の場合、控除額は38万円です。
扶養控除は、扶養親族の年齢、同居の有無などによって区分されています。16歳未満の子どもは控除対象扶養親族に該当しないので注意してください。
16歳未満の子どもについては「子ども手当」の創設に伴い、2011年分の所得税から扶養控除が廃止されています。
扶養親族がいる場合の申告書類の書き方
扶養親族がいる場合、個人事業主や年末調整をしない人は、「確定申告」で扶養控除を適用してください。一方、会社員は「年末調整」で扶養控除を申請しましょう。
本章では、確定申告と年末調整、それぞれの書き方についてまとめました。今後、扶養控除を申請する可能性のある人は、ぜひ参考にしてください。
確定申告について
扶養控除を確定申告で申請する場合、「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」が必要です。確定申告書の用紙について解説する前に、確定申告について確認しておきましょう。
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を税務署に報告した上で、納めるべき税金を申告し、納税する手続きを指します。確定申告は、個人事業主や年末調整をしない会社員が対象です。
所得税等の確定申告書用紙は、国税庁のホームページから入手できます。確定申告書の用紙だけではなく、書き方の手引きも掲載されているので参考にしてください。
出典:手順3 所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する|国税庁
出典:【申告書用紙】|国税庁
年末調整について
年末調整で扶養控除を申請する場合、「扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。年末調整の対象者は、社内の労務担当者に必要書類を提出しましょう。
年末調整とは「所得税の過不足を精算する手続き」のことで、企業に勤める会社員が対象です。
通常、企業に勤めている会社員の所得税は給与から天引きされた上で、企業が代わりに納税しています。ただし、この時点の所得税は概算のため、正しい所得税額ではありません。
該当年度の所得額が確定した時点で再計算し、正しい所得税額を算出します。正しい所得税額と概算で徴収した所得税額を比較した上で、過不足を従業員に還付あるいは追加徴収することを年末調整と呼んでいます。
扶養親族に該当する人の条件を知っておきましょう
親族を養っている人は、扶養控除に該当する扶養親族の条件を理解しておきましょう。もし、養っている親族が扶養控除の条件に該当している場合、扶養控除を受けられます。
また、同居していなくても生活費を仕送りしている場合には、「生計を一にする」親族と認められます。
年末調整が受けられる会社員は、社内の労務担当者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しましょう。また、個人事業主や年末調整を受けない人は、確定申告で扶養控除を申請してください。
扶養親族とはどのような条件が必要か理解した上で、上記のような手続きを忘れずに行いましょう。
※初回公開日:2023年1月26日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
-
IT・Web業界で活躍できるお仕事情報多数掲載
-
あなたの成長を叶える魅力的なお仕事情報多数掲載