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開業費に含まれるのはいつまでのもの?会計処理・償却期間についても解説!

開業費に含まれるのはいつまでのもの?会計処理・償却期間についても解説!

「開業費に含まれる費用って何がある?」
「開業費っていつまでさかのぼって計上してもいいのかな?」
「開業費を償却するにはどうしたらいいか知りたい」
このように事業を始めた人の中には、開業費についてたくさんの疑問や不安があるのではないでしょうか。

本記事では、開業費とは何かといった基礎知識に加え、開業費を計上する方法やメリットなどを紹介しています。

この記事を読むことで、開業費に含まれる費用や、いつまでさかのぼって開業費にできるかがわかるだけでなく、開業費の会計処理方法などがわかるようになるため、開業費を使った節税もできるようになるでしょう。

開業費について知りたいと思った人は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

そもそも開業届とは?

そもそも開業届とは?

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)とは、個人が事業を開始したことを税務署に届ける書類のことです。

開業の事実があった日から原則1ヶ月以内に提出することになっていますが、罰則などは設けられていません。

個人事業主は1年間の所得を自身で計算し確定申告する必要がありますが、その際に、税制面で有利な青色申告を行うためには開業届を提出している必要があるため、忘れずに提出しておきましょう。

出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

個人事業主の開業費に含まれるものとは?

個人事業主の開業費に含まれるものとは?

事業を始めるためにかかった費用を開業費といい、名刺や印鑑代、筆記用具などの消耗品のほか、交通費、通信費、水道光熱費など様々なものを計上できます。

なお、法人の場合は登記完了後から営業活動を始めるまでに特別にかかった費用と決められているため、個人事業主の開業費とは定義が異なります。

出典:Q1 法人設立時の創立費・開業費とは?/範囲や仕訳・償却期間は?/法人設立前の支出は?|濱田会計事務所

開業費に含まれないもの

開業費に含まれないもの

個人事業主の開業費は明確な定義がされていないものの、全てを開業費にできるわけではありません。

開業費にできないものがあるのは、開業費が費用ではなく繰延資産として取り扱われることが理由です。

開業費にできないと節税効果もないため、どのようなものがあるかは事前に知っておくと良いでしょう。

ここからは具体的に、開業費とは認められないものを1つずつ紹介していきます。

礼金

礼金は事務所や店舗を借りる際に支払うお金のうち、戻ってこないお金のことを言います。

礼金は開業費と同じく繰延資産ではあるものの取り扱いが少し複雑で、20万円未満の場合開業費にできません。

会計上と税務上で繰延資産の分類や定義が異なることが理由ですが、礼金は開業費にできない場合があると覚えておくと良いでしょう。

出典:飲食店の開業費を経費にする仕組みを解説。対象となる支出を知ろう|甲田拓也事務所

10万円以上の備品

1つあたり10万円以上する備品は固定資産という勘定科目で扱われるため、開業費にできません。

固定資産は何年で経費とするか年数が定められています。一方で、開業費の年数は任意となっており、処理方法が異なるためです。

事業で使うパソコンを開業前に8万円で購入した場合は開業費にできますが、11万円のパソコンだった場合は開業費にできないため、金額には注意するようにしましょう。

出典:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁(PDF)

出典:飲食店の開業費を経費にする仕組みを解説。対象となる支出を知ろう|甲田拓也事務所

敷金などの後日返金されるもの

事務所や店舗を借りる際に支払った敷金も開業費にできません。

敷金は通常、賃貸契約終了後に戻ってくるお金ですが、そもそも返金されるお金は費用ではありません。

先ほど説明した通り、礼金は20万円以上の場合開業費にできますが、敷金は金額に関わらず開業費にできないと覚えておくと良いでしょう。

出典:飲食店の開業費を経費にする仕組みを解説。対象となる支出を知ろう|甲田拓也事務所

仕入代金

仕入に使った代金も開業費にすることができません。

仕入は販売して利益を得る目的で行いますが、仕入時は仕入で計上し、売り上げた時に売上原価として計上するもので経費です。

開業費は費用ではなく繰延資産であるため、仕入代金は開業費にはできません。

出典:平成27年分 白色申告者の決算の手引き|税務署

いつまでに支払ったものが開業費になる?

いつまでに支払ったものが開業費になる?

個人事業主の場合、開業にかかった費用は開業費にできます。

いつまでに支払ったものまで開業費にできるかというと、開業日前までであれば過去にさかのぼって開業費にできます。そのため、開業に何年もかかった場合はその期間に支払った費用も開業費にできます。

とはいえ、数年前までさかのぼって支払った費用を開業費とする場合は、理由を説明できるよう準備しておくと良いでしょう。

開業費の会計処理・償却期間について

開業費の会計処理・償却期間について

開業に使った費用は経費ではなく開業費という繰延資産であることを説明しましたが、開業費の会計処理は何か特別なことが必要なのでしょうか。

答えは、開業費を繰延資産に計上後、5年均等償却か任意償却していくことになります。

任意償却とは繰延資産とした額のうち、償却する金額を自由に決めて良いということです。そのため、一度に全額償却しても良ければ、全くしなくても良いことになります。

出典:償却期間経過後における開業費の任意償却|国税庁

開業費の償却は節税にも繋がる

開業費の償却は節税にも繋がる

任意償却で経費をコントロールすることにより、節税効果が得られます。

例えば、赤字の時は税金がかからないため償却せず、利益が出たタイミングで償却すれば経費が増えるため、課税所得を低く抑えられます。

出典:開業初年度は開業費の処理の仕方で税金が損になる?|武部会計事務所

開業費の領収書は帳簿をつけなければならない?

開業費の領収書は帳簿をつけなければならない?

開業費を繰延資産として計上するのにも、繰延資産を任意償却するのにも帳簿が必要です。

そもそも、所得税の確定申告を正しく行うためには帳簿をつけることが重要です。

開業費がたくさんある場合は1つずつ帳簿につけるのは大変なため、明細ごとに帳簿をつけるのが良いでしょう。

出典:帳簿の記帳のしかた−事業所得者用−|税務署(PDF)

開業費に含めることができるのはいつまでなのか把握しておこう

開業費に含めることができるのはいつまでなのか把握しておこう

開業費はいつまでさかのぼって含めることができるのか解説してきました。

個人事業主の開業費は開業日前から過去にさかのぼって計上できるため、開業にかかった費用はもれなく開業費とすると良いでしょう。

開業費を任意償却することで税金をコントロールし、事業の資金繰りを良くする効果もあります。開業費をうまく使って事業を成功に導きましょう。

※初回公開日:2023年7月26日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

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