退職時のトラブル事例とは?回避するための手順や損害賠償が発生するケースも紹介
「会社を辞めたいけど、引き止めなどのトラブルに合ったらどうしよう」
「退職するときにはどんなトラブルが考えられるの?」
「退職時のトラブルを回避する手立ては?」
このように、退職を検討している人の中には、たくさんの疑問や不安があるのではないでしょうか。多くの人が、何のトラブルもなく円満に退職したいと考えているものです。
本記事では、退職時に考えられるトラブル事例や損害賠償が発生するトラブル事例、トラブルを回避するための手段などを紹介しています。
この記事を読むことで、退職時に考えられるトラブルやトラブルを回避するための退職手順を把握できます。その知識をもとに、円満退職に向けた準備ができるでしょう。
退職を検討している人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
退職時の3つのトラブル事例とは?
退職時にトラブルが起きてしまうかどうかは、どのような契約内容で雇用されているのかや、辞める理由によって異なります。
ここでは、退職時のトラブル事例を法律を交えながら紹介していきます。
- 正社員が退職する場合
- 急に辞めてしまう場合
- 有期雇用の場合
1:正社員が退職する場合
民法第627条第1項では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」と定められています。
契約期間に定めがない正社員が退職する場合、2週間前までに会社に伝えることで退職可能です。ルールを守り退職の意思を2週間前までに伝えておけば、トラブルになることはないでしょう。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百二十七条|e-Gov法令検索
2:急に辞めてしまう場合
労働基準法の第15条では、「使用者から明示された賃金やその他の労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除できる。」と定められています。入社前に伝えられた雇用条件と実際のものが異なる場合は、急に辞めても問題ないということです。
ただし、雇用条件の相違がないのに2週間前の申し出ルールに反して急に辞めるという行為は、トラブルの原因になるため注意しましょう。
出典:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十五条|e-Gov法令検索
3:有期雇用の場合
民法第628条では「雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、直ちに契約の解除をすることができる」と定められています。
つまり、やむを得ない事情がない限り、有期雇用される者は退職ができないということです。労働者の一方的な理由で退職ということになれば、トラブルになってしまう恐れがあるでしょう。
ただし、労働基準法第137条では「労働期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。」とも定められています。
よって、有期雇用でも働き始めてから1年経過していれば、自由に退職できトラブルの心配も少ないでしょう。
出典:民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百二十八条|e-Gov法令検索
トラブルを回避するための退職の手順
ここからは、トラブルを回避するための退職手順を紹介していきます。
トラブルを避け退職するためには手順をしっかり守ることが大切です。感情に任せて退職することは、無用なトラブルを引き起こす原因になってしまいます。円満退職をするためにも、こちらで紹介する手順をぜひ参考にしてください。
- 退職する日を決める
- 退職する意思を直属上司に伝える
- 会社へ退職願を出す
- 後任者へ引継ぎを行う
- 退職日には関係者へ挨拶をする
1:退職する日を決める
明確な退職日を決めておかないと、会社からの引き止めにあったり、退職の決意が揺らいでしまったりする可能性があります。退職の意思を伝える前に、退職する日を決めましょう。
退職日は、抱えている仕事や会社の状況(繁忙期は避ける)、就業規則、有給休暇の日数から決めます。どうせ辞めるのだからと考えずに、退職日は会社になるべく迷惑をかけないような時期に設定しましょう。
2:退職する意思を直属の上司に伝える
退職する日を決めたら仕事の引継ぎや手続きなどを考慮して、希望日の1か月半前までを目途に退職する意思を直属の上司に伝えます。
同僚や先輩に先に相談し退職することが他の人から上司に伝わってしまうと、混乱やトラブルに発展してしまう恐れがあります。トラブルを避けるためにも、まず直属の上司に伝えましょう。
3:会社へ退職願を出す
直属の上司に退職の意思を伝え、承認されたら会社に退職を願い出るための退職願を提出します。
退職願は「退職したい」という希望を伝えるための書類です。退職願の提出が不要で口頭のみで退職が成立する会社もあります。退職願の提出が必要かどうか、就業規則などで事前に確認しておきましょう。
また、会社によっては退職願の書式が決まっている場合もあります。書式の有無も確認しておいてください。
4:後任者へ引継ぎを行う
円満に退職するためには、自分が退職した後に残る人たちに迷惑をかけないことが大切です。迷惑をかけないためには、後任者への引継ぎはしっかり行いましょう。
後任者が分かりやすいように、業務内容や手順、注意点、トラブルの経緯や対処法をまとめた引継ぎ書を作成しておきます。作成した引継ぎ書をもとに、口頭で説明しながら丁寧に引継ぎを行うといいでしょう。
また、引継ぎの際に必要であれば取引先への挨拶も済ませましょう。退職後に担当者が変わったことを伝えると混乱を招く恐れがあるため、上司と相談して取引先へ挨拶しておくことがおすすめです。
5:退職日には関係者へ挨拶をする
退職日には関係者への挨拶が欠かせません。午前中は電話やメール対応、ミーティングなどで忙しいため、退職日の挨拶は業務が落ち着く午後に行いましょう。
ただし、直属の上司への挨拶は朝一と退勤前に行います。朝一に最後までしっかり業務を行うと挨拶し、退勤前にこれまでの感謝を伝えるようにしましょう。
退職時にトラブルを回避するための確認事項
退職時にトラブルを回避するためには、就業規則をチェックする必要があります。
就業規則とは給与や労働時間などの労働条件や、職場で守らなければならない労働規律がまとめられたルールブックのことです。就業規則の中には、退職に関することも書かれています。
就業規則の退職に関する事項を確認しておけば、退職時の交渉に役立ちトラブルを回避することができるでしょう。
退職した際のトラブル事例3つ
ここでは、退職した際のトラブル事例を3つ紹介していきます。
多くの人が、会社を辞めることを決意したらスムーズに退職したいと考えるでしょう。しかし、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性も少なくありません。
そのような場合でも冷静に対処できるように、起こりうるトラブル事例とその対処法を理解しておきましょう。
- 申請した離職票が届かない
- 退職金が受け取れない扱いにされた
- 自己都合の退職扱いにされている
1:申請した離職票が届かない
離職票の申請をした人に交付することは、労働基準法第22条及び雇用保険法第76条第3項で規定されている会社の義務であり、交付の拒否はできません。申請した離職票が届かないという場合は会社に問い合わせて、いつまでに交付されるか確認しましょう。
催促したにもかかわらず交付されないという場合は、ハローワークに相談してください。ハローワークで交付状況を確認でき、交付が遅れている場合には会社に催促してもらうこともできます。
離職票が届かないと失業保険の受給が遅れてしまうため、届かないことに気づいた時点で早めに相談しましょう。
出典:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十二条|e-Gov法令検索
2:退職金が受け取れない扱いにされた
退職した際のトラブル事例には、退職金が受け取れない懲戒解雇扱いにされたということもあります。懲戒解雇されてしまうと退職金が受け取れないだけでなく、転職で不利になる可能性があるでしょう。
会社が労働者を懲戒解雇するためには、懲戒することができる場合であること、客観的で合理的な理由があること、社会通念上相当であることの3つの要件を満たさなくてはいけません。
要件を満たしていないのに、懲戒解雇とされ退職金が出ない扱いをされたという場合には、都道府県の労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
3:自己都合の退職扱いにされている
人員整理による解雇などの会社事情による退職を会社都合の退職といい、自ら申し出て退職することを自己都合の退職といいます。
助成金や解雇予告手当金に影響することから、会社都合の退職を自己都合の退職扱いにする会社も少なくありません。自己都合の退職扱いにされてしまうと、退職者は失業保険の給付日数や待期期間で不利を受けてしまいます。
そのような場合は、労働基準監督署や弁護士に相談するようにしましょう。
出典:第5章 仕事を辞めるとき、辞めさせられるとき|厚生労働省(PDF)
退職を伝えた際のトラブル事例
ここからは、退職を伝えた際のトラブル事例を紹介していきます。
直属の上司に退職を伝えると、引き止めや退職の承諾を得られないなど、さまざまなトラブルが起こる場合があります。上司に退職意思を伝える前に起こりうるトラブル事例とその対処法を理解しておき、適切な対処をしてください。
- 退職理由は当たり障りない理由を告げる
- 退職を承諾されない
- 退職の手続きが進まない
- 後任者が先に辞めてしまった
- 上司に引き止めをされた
- 辞めさせないための理由を告げられる
- ボーナスが支給されなかった
- 残りの有給休暇を消化させてもらえない
1:退職理由は当たり障りない理由を告げる
退職理由によっては、悪い印象を与えトラブルが起きてしまうこともあります。退職理由は当たり障りのない理由を告げることが大切です。
例えば、給料が安いことが原因で退職する場合、そのまま伝えるのではなく新しいことにチャレンジしたいからなど前向きな理由にしましょう。
ただし、嘘をつくことはやめましょう。嘘がバレてしまうと関係性が悪化してしまうため、印象が悪くならない伝え方に注意してください。
2:退職を承諾されない
トラブル事例として人手不足だから、後任がいないからなどの理由で退職を承諾されないというケースも少なくありません。
どうしても承諾してもらえない場合には、内容証明郵便で退職を通告するための退職届を送ることで、相手に退職の意思表示をしたことを客観的に証明できます。
それでも退職を承諾されない場合には、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
3:退職の手続きが進まない
退職の意思を伝えても手続きをしてもらえず、会社を辞めることができないというトラブル事例もあります。
退職手続きを進めてもらえないという場合は、まず退職届を会社に提出しましょう。上司に手渡しで提出しても受け取ってもらえないときは、内容証明郵便で郵送します。
それでも手続きが進まない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
4:後任者が先に辞めてしまった
退職まで日数がない場合、どうしても引継ぎにかける時間が少なくなり、急ぎ足になってしまいがちです。少ない時間で引継ぎを行うと後任者がプレッシャーを感じ、耐えられなくなって先に辞めてしまうというトラブルが起こる事もあります。
後任者が先に辞めてしまわないように、無理な引継ぎを行わないようにしましょう。引継ぎの時間が少ない場合は仕事の基礎の部分を丁寧に教え、その他の部分は引継ぎ書にまとめて、後任者がいつでも見返せるようにするべきです。
5:上司に引き止めをされた
上司に退職の意思を伝えたら、強い引き止めに合うというトラブルはよく見られる事例です。
強い引き止めに合わないためには納得できる退職理由を準備し、強い意思を持って早めに退職する旨を伝えるようにしましょう。
対策をしても引き止められたら、上司よりも上の人や人事部に相談するなどします。もし、内部の人に相談しても理解してもらえない場合は、労働基準監督署などに相談するようにしましょう。
6:辞めさせないための理由を告げられる
退職されては困るからと辞めさせないために、「懲戒解雇にする」「違約金が発生する」などといってくる会社もあります。辞めさせないために不利益条件を出してくることは、違法になる可能性が高いでしょう。
退職の意思を伝えただけで懲戒解雇にされたり、違約金を請求されたりして辞めないように強要されたら、弁護士などに相談するようにしましょう。
7:ボーナスが支給されなかった
法律でボーナスは必ず支給しなければならないという決まりはありません。退職者にボーナスを支給するかどうかは、就業規則や賃金規定によって変わってきます。そのため、ボーナスが支給されなかったから直ちに違法とはいえないでしょう。
就業規則等に支給日に在籍している者だけ支給する、退職届を提出している者には支給しないなどと書かれている場合には、要件を満たしていなければ貰えません。
ボーナスを貰ってから辞めたいのであれば、就業規則等をきちんと確認してから退職の意思を伝える時期を考えましょう。
8:残りの有給休暇を消化させてもらえない
残りの有給休暇を消化させてもらえないということも、よく見られるトラブル事例です。
労働基準法第39条で、会社は一定の要件を満たす労働者からの申請があれば、有給休暇を与えなければならないと決められています。
有給休暇の申請を拒否された場合は、まず人事部に直接申請を行ってください。自分が加入している労働組合に相談するのも有効でしょう。
もし、人事部や労働組合に相談しても拒否される場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することをおすすめします。
出典:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十九条|e-Gov法令検索
退職時に損害賠償が発生するトラブル事例7つ
ここからは、退職時に損害賠償が発生するトラブル事例7つを紹介していきます。
どのようなケースで損害賠償が発生するのか知っておけば、トラブルになることを防げるでしょう。
- 入社して間もなく退職した場合
- 意思を提示した直後から無断欠勤した場合
- 2週間前までに意思を伝えないまま退職した場合
- 企業支援中の制度期間後に退職した場合
- 一方的な事情で契約期間中に退職した場合
- 他の従業員を引き抜いて退職した場合
- 会社に損害を出して退職した場合
1:入社して間もなく退職した場合
入社して間もなく退職した場合、損害賠償請求される可能性があるでしょう。
労働者には退職する自由はあるため、退職できないというわけではありません。しかし、労働者が退職することで会社が見込んでいた収入が得られなくなったなど大きな損害を被った場合には、損害賠償を請求されてしまうケースがあります。
2:意思を提示した直後から無断欠勤した場合
前述した通り、2週間前までに退職を申し出れば会社を辞めることはできます。しかし、意思を表示した直後から無断欠勤をしてしまうと、損賠賠償請求されてしまう可能性があるため注意しましょう。
退職が承認されるまでは労働の義務が続き、労働者は誠実に労働する義務を負うため、会社を辞めるまでは無断欠勤は厳禁です。
3:2週間前までに意思を伝えないまま退職した場合
前述した通り、会社を辞めたい場合には2週間前までに退職意思を伝えなければなりません。
突然退職したことで仕事のキャンセルが出るなど、会社に重大な損害を与えることになれば損害賠償請求をされてしまう可能性があるでしょう。
また、就業規則などで「1か月前までに申し出ること」などと規定されている場合には、それを守らないと違反になってしまいます。損害賠償が発生しないようにするには、就業規則などの確認が必要です。
4:企業支援の制度期間後に退職した場合
会社の支援制度を利用して研修や短期留学などに参加した後すぐに退職してしまうと、支援制度利用にかかった費用の返還請求をされてしまう可能性があります。
労働基準法第16条では「労働契約の不履行について違約金や損害賠償額を予定する契約はできない。」と定められていますが、支援制度が労働者の利益になる場合、費用の返還を請求される可能性が高いでしょう。
費用の返還請求などのトラブルが起こらないように、支援制度の内容を事前にチェックしておく必要があります。
出典:労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十六条|e-Gov法令検索
5:一方的な事情で契約期間中に退職した場合
有期雇用の人は特別な事情がない限り、期間途中に退職することはできません。
労働者の一方的な事情で契約期間中に退職すると、損害賠償が発生してしまう可能性があります。
6:他の従業員を引き抜いて退職した場合
労働者は、会社に不利益を与えないために誠実義務や競業避止義務などを負っています。
退職前に他の従業員を引き抜くことは会社に対して不誠実で不利益を与える行為のため、損害賠償が発生する恐れがあるでしょう。
しかし、労働者には退職の自由があるため、引き抜き行為が通常の勧誘行為の範囲であれば損害賠償が発生する可能性は低いでしょう。損害賠償が発生するケースとしては、通常範囲を超えた勧誘を行い、大量に退職者を出して業務に支障をきたした場合です。
7:会社に損害を出して退職した場合
労働者のせいでトラブルが起こり、それが原因で何らかの損害が出た場合、会社から損害賠償を請求される恐れがあります。損害の弁済を行わずに退職した場合も同様です。
請求される損害賠償額は、労働者にどれぐらいの責任があるか(責任度合)で変わります。会社の指揮命令のもとで起きたことであれば、100%の損害請求が認められる可能性は低いでしょう。
退職時に損害賠償を伴ったトラブル事例
最後に、退職時に損害賠償を伴ったトラブル事例を紹介していきます。
退職時に損賠賠償を請求され、裁判に発展するケースも少なくありません。どのようなトラブル事例で損害賠償の請求や裁判に発展するのか理解しておくことで、トラブルを回避できる可能性が高まるでしょう。
1:大隈鐵工所事件の事例
このトラブル事例は、労働者Xが退職届の撤回と従業員としての地位確認を求めたものです。
同期入社のAについての聴取の最中Xは退職の意思を示し、人事部長が慰留したものの、それを固辞し退職届を提出しました。しかしその翌日、退職届の撤回を申入れたものの、受け入れてもらえなかったことから提訴したものです。
この事例では、退職届の承認決定権がある人事部長が退職届を受理しているということで、退職が即日承認されたと判断され、労働者側が敗訴しています。
2:長谷工コーポレーション事件の事例
これは、退職した労働者に対して、在職中に留学制度を利用して留学した費用の内、学費の返還を請求したものです。
留学は業務命令でなく労働者の自由意思により参加したもので、帰国して一定期間経過する前に退職した場合には、留学にかかった費用を返還する旨の誓約書を交わしていました。
この事例では、留学は会社命令ではなく自由意思で行われたもので、労働者の有益な資格や経験になると判断されています。よって、労働基準法で禁止している違約金や損害賠償金の予定には該当せず、会社側の請求を認めるとの判断がされました。
3:BGCショウケンカイシャリミテッド事件の事例
この事例は、会社の警告を無視し有期雇用契約中に一方的に退職し、競合他社へ転職したことで、債務不履行及び不法行為に当たるとして賠償金請求したものです。
当該労働者が退職することで売り上げが失われるということが認められ、損賠賠償請求が認められました。
4:ラクソン事件の事例
このトラブル事例とは、経営に不満を持った営業本部長が部下のセールスマンを多数引き連れて同業他社に移籍したことで、損害賠償請求されたものです。
この事例では、慰安旅行と称して事情を知らないセールスマンを連れ出し、数時間にわたり説得していたため、通常の範囲を超える勧誘が行われたと判断されました。
また、事前に事業所の準備や備品の持ち出しを行い、すぐに営業できる状態にしていたことから、計画的で背信的な行為であると判断されています。そのため、会社側の損賠賠償請求を認める判断がくだされました。
5:ケイズインターナショナル事件の事例
これは、労働者が突然退職したことで本来得るはずであった利益が得られなくなったとして、会社が損害賠償請求したという事例です。
インテリアデザイン契約の担当として無期雇用契約を結んだ労働者が、わずか数日勤務したのち病気を理由に欠勤し、そのまま退職してしまいました。利益を得られなかったとして200万円の損害賠償金を支払うという念書を交わしたが、支払わなかったため提訴されたものです。
この事例では、退職で被った損害の一部を賠償しなければならないとする判決が出されています。
退職時に起こり得るトラブル事例を理解して転職しよう
本記事では、退職時のトラブル事例やトラブルを回避するための手順、損賠賠償が発生するケースなどについて紹介してきました。
退職の意思を表示しても強い引き止めに合い退職を承諾されなかったり、ボーナスが支給されなかったりと、トラブルが起きてしまうことがあります。トラブルが起きても感情的にならず、冷静に対処することが大切です。
退職時に起こり得るトラブル事例を理解して、転職を実現しましょう。
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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