還付申告とは?確定申告・年末調整との違いや対象となるケースについて紹介
「還付申告とはそもそもどんな時にするべき?」
「還付申告は確定申告や年末調整とは違うもの?」
「還付申告はどうやったらできるの?」
こういった悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
会社に勤めている場合は、基本的に還付申告は必要ありません。しかし、転職を目的として退職した場合や、住宅ローンを組んだ時など、還付申告が必要になるケースもあります。
還付申告をすれば払い過ぎた税金が戻ってくるので、どのような場合に申告をすべきか知っておくと便利です。
本記事では、還付申告とは何か、確定申告や年末調整との違いは何かを解説します。あわせて、どのような場合に還付申告の対象となるのかも紹介します。この記事を読めば、必要に応じて還付申告ができるようになるでしょう。
ぜひ内容をチェックして、参考にしてみてください。
目次
そもそも還付申告とは?
そもそも還付申告とは、確定申告によって納め過ぎた所得税の還付を受けることです。
会社に勤めている人は、給与などから所得税が源泉徴収されています。源泉徴収された所得税額や、個人事業主などが予定納税をした所得税額が、実際の所得金額に基づいて計算した金額よりも多い場合に申告が可能です。
還付申告書には、確定申告の期間は関係ありません。税金を支払い過ぎた翌年の1月1日から5年間提出できます。
出典:還付申告│国税庁
確定申告や年末調整との違い
確定申告や年末調整との違いは申告する内容です。確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得を元に、所得税の額を計算して確定させるものです。源泉徴収された税金や予定納税額があれば、確定申告で過不足が精算できます。
年末調整は、1年間に源泉徴収した所得税や復興特別所得税の合計額と、1年間に納めるべき所得税や復興特別所得税額を一致させる手続きです。事前に収めた額は実際の額と違う場合があります。
還付申告の対象となるケース
- マイホームを住宅ローンで購入した
- マイホームの改修工事を行った
- 災害や盗難での損失があった
- 高額な医療費を支出した
- 年末調整を受けずに退職した
- 一定の寄付を行った
- 上場株式の損失を上場株式などの配当所得から控除する
マイホームを住宅ローンで購入した
マイホームを住宅ローンで購入すると、一定の条件を満たしている場合に還付申告が可能です。自分が居住するための家を購入し、住宅ローンを10年以上の借入期間で借りていると、対象になる可能性があります。
2年目以降は年末調整で申告できますが、初年度は間に合わないため還付申告によって還付金を受け取るのが一般的です。住宅の床面積や入居までの期間に関する条件など細かい条件があるため、対象になるか確認しましょう。
出典:No.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除|国税庁
マイホームの改修工事を行った
マイホームの改修工事を行った場合も、還付申告の対象となるケースがあります。自分が所有している家のバリアフリー改修工事や省エネ改修工事を行った場合に、還付申告が可能です。多世帯住宅への改修も対象となります。
上記以外にも住宅ローンを利用して改修工事を行っているなど、詳細な条件があるので、確認した上で対象になる場合に還付申告をしましょう。なお、令和4年以降に工事を行った場合は、対象となりません。
出典:No.1217 借入金を利用して省エネ改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)|国税庁
災害や盗難での損失があった
災害や盗難での損失があった場合も、要件に当てはまれば還付申告が可能です。納税者本人、または納税者と生計を一にする所得金額が48万円以下の家族の資産が対象になります。
対象となる災害の種類は、震災や風水害、冷害などの自然災害だけではなく、火災や火薬類の爆発など人災も対象です。害虫など、生物が原因の災害も含まれます。
また盗難や横領による被害も対象です。ただし、詐欺や恐喝は損失があっても対象になりません。
出典:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁
高額な医療費を支出した
納税者本人または納税者と生計を一にする配偶者や親族のために高額な医療費を支出した場合も、還付申告の対象になります。
対象になるのはその年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費で、未払いの場合は実際に払った年の費用として計算するルールです。
医療費控除の金額は最高で200万円までで、受け取れるのは実際に支払った医療費の合計額から保険などで補てんされる金額を除き、10万円を引いた額です。
出典:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
年末調整を受けずに退職した
年末調整を受けずに退職した人も、還付申告が必要になるケースがあります。
給与を受け取っている人は所得税が源泉徴収されていますが、源泉徴収は概算で行われるため最終的な金額が一致しないのが一般的です。一致しない金額を調整するのが年末調整ですが、年の途中で退職すると年末調整が受けられません。
年末調整が受けられない人が所得税を納め過ぎているケースも見られるため、還付申告が必要になります。
出典:No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁
一定の寄付を行った
一定の寄付を行った場合も、還付申告の対象です。寄付する先は国や地方公共団体、公益社団法人や公益財団法人といった公益を目的とする事業を行う法人など、範囲が決められています。
ただし、寄附をした人に特別の利益がある場合は、還付申告の対象とはなりません。
寄附金控除の金額は、その年に支出した特定寄附金の合計額とその年の総所得額の40%にあたる金額のうち、低い方から2,000円を引いた金額です。
出典:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁
上場株式の損失を上場株式などの配当所得から控除する
上場株式の損失を上場株式などの配当所得から控除する場合も、還付申告が可能です。本来、株式を譲渡した際に出た損失は、申告しなくても構いません。しかし、申告すれば3年間繰り越して上場株式などの配当所得から控除できます。
1年間で控除しきれなくても3年間繰り越せるため便利です。取引を行わなくても繰り越しは可能なので、取引の有無を気にせず必要に応じて還付申告しましょう。
出典:No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁
還付申告の対象外のケース
源泉分離課税とされる所得は、還付申告の対象になりません。源泉分離課税制度とは、他の所得と全く分離して、所得を支払う者がその所得の支払の際に一定の税率で所得税を源泉徴収する制度です。
源泉徴収で所得税の納税が完結するため、支払うべき金額と実際に収めた金額に差は出ません。
たとえば、預貯金の利子や抵当証券などの金融類似商品の収益は、源泉分離課税です。一時払養老保険の差益なども、源泉分離課税になっています。
還付申告の手続きの流れ
還付申告手続きを行うなら、確定申告書(還付申告書)を提出しましょう。還付申告は確定申告書を用いて行うため、特別な書式はありません。手続きの方法も確定申告と同じです。
土地や建物の譲渡所得や、株式の譲渡所得がある場合などには、申告書第三表を提出する必要があります。所得金額の計算上生じた損失の金額を翌年以後に繰り越す場合には、申告書第四表も提出しなければいけません。
還付申告書には提出期限があるのか
還付申告書には、提出期限があります。確定申告の必要がない人が還付申告をする場合、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間申告が可能です。
土日祝日など、税務署の閉庁日には、税務署での相談や申告書の受付が行われてないため、注意しましょう。
還付金を受け取るには?
還付金を受け取る場合、預貯金口座に振り込んでもらう方法と、最寄りのゆうちょ銀行の店舗や郵便局に出向いて受け取る方法があります。
預貯金口座に振り込んでもらえば、お金を受け取るために出向く必要がありません。特に問題がなければ、預貯金口座に振り込んでもらう方法がおすすめです。振り込みには、申告者本人の口座を利用する必要があります。振込先の金融機関名や口座番号は正確に記入しましょう。
還付申告書の提出方法
還付申告書の提出方法には、「税務署の窓口で提出」「郵送で提出」「e-Taxで提出」の3種類があります。
国税庁ホームページにある「確定申告書等作成コーナー」を利用して書類を作成すれば、画面の案内に沿って金額を入力するだけで申告書の作成やe-Taxによる提出が可能です。
必要な項目を入力すれば、付表や明細書が作成されるので、利用できる場合はe-Taxを利用しましょう。
還付申告について理解しておこう
還付申告をするなら、どのような時に申告できるのか、どのような流れで申告できるのか、理解しておかなければいけません。
還付申告をするべき時にすれば、払い過ぎた税金が戻ってきます。必要に応じて、きちんと申告を行いましょう。
※初回公開日:2023年1月30日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
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